市販車であるため各パーツも入手可能ではあるが、非常に高価である。たとえばタイヤに関しても、このターボ2専用のサイズなので市販されておらず、わざわざミシュランにオーダーする必要がある。そのため4本まとめてでないとオーダーすることができない。4本ワンセットのその価格は100万円を超えるという話だ。だが、タマス氏曰くこのオーナーはホイールを交換しており、オリジナルではないという。その上タイヤは中国製の4本で1万円クラスのものを履いている。これがどんな風に仕上がるのか?レストアが終わったらぜひ走らせた姿を紹介したいと思う。
マトラのムレーナなどもここにはある。…と眺めていると、フランス車などとは違ったオーラを発する黒塗りの車が1台。西欧ではなかなか見かけないソ連の高級車ヴォルガだ。元ソ連の衛星国ハンガリーならでは!…というだけの話では終わらないようだ。タマス氏の目には何か言いたげな気配がある。
「ドライバーズシート」というカタカナではなく「運転席」と呼んだほうがしっくりくるスペースに着座すると、車内は懐かしい感じが漂う。ラジオがダッシュボードにあるにもかかわらず、助手席にはもう一台オーディオ?カーステ?その横にもなにやらボタンの付いた装置が。そしてペダルを踏み込んでみる。クラッチを踏んでシフトノブに手をやる。クラッチはスカスカ。この辺りからレストアを始める予定かな?と思うと、「このクラッチはダミーだよ」とタマス氏がいじわるそうに言った。ダミー!?じゃあこのシフトレバーは?前後にしか動かない。オートマチックのように…何のために?
実はこの車は旧ソ連の国家保安委員会、KGBの特殊車両なのだ。もともとヴォルガも高級車だが警察でも使用していた。そのため、警察車両のように見せかけていながらKGBが捜査していたというわけだ。ヴォルガにチャイカの5リッターV8のエンジンを積んでいる。チャイカのミッションも同様に3段のATとなっている。助手席の装置は無線機のようだ。そんな特別車両もソ連崩壊後、そのまま売却していたのだ。オーナーはウクライナの民間人だという。こんな車両もレストアを任せられるのがこのタマス氏なのだ。
他にもラリー仕様のルノー20がある。ピカピカに仕上げられたこの車はラリーの準備万端ということだ。参加するラリーはブダペスト-バマコ。19日で9000kmを走破する。10カ国を抜けてアフリカのマリにあるバマコを目指すというものだ。ということで相変わらずちょっと変わった車を見ることができるタマス氏のガレージPásztor Classic。6月を振り返ってこれを書いているが、この8月には再度ハンガリーに出かけるのでまた時間を作って寄ってみようと思う。レストアの進み具合やまた何か新しいものが入ってきてないか覗いてみることにする。
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写真・文:櫻井朋成 Photography and words: Tomonari SAKURAI
August 11, 2021 at 03:42PM
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