スバルとSTI（スバルテクニカインターナショナル）は、2月22日に富士スピードウェイにおいて記者会見を開催し、2021年のモータースポーツ参戦体制を発表した（概要は別記事参照）。
記者会見の中で、スバルテクニカインターナショナル 代表取締役社長 平岡泰雄氏は「昨年参戦を断念したニュルブルクリンク24時間レースだが、今年こそという想いで全社を挙げて準備してきたが、コロナ禍の中で残念ながら今年も見送りになった。ただし、ニュルへの挑戦は人材育成の意味でも重要な位置付けを担っており、（状況が変化して）参戦が適うようになれば再度検討したい」と述べ、ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦は一旦は見送りとしたが、レースの開催時期が変わったり、新型コロナウイルスの感染拡大の状況などに変化が出てくれば参戦することを検討していきたいと述べた。
また、電動化車両を利用したモータースポーツでの参戦についても今後検討していくと述べ、現時点では詳細は明らかにできないが、将来的に電動化された車両を利用してモータースポーツに参戦する開発意向表明を行なった。
STIらしい電動化モータースポーツの開発意向表明も
記者会見にはスバルテクニカインターナショナル 代表取締役社長の平岡泰雄氏、SUPER GT スバル/STI総監督 小澤正弘氏、ドライバーの井口卓人選手、山内英輝選手、さらには2021年の61号車のレースクイーンとなるBREEZEの4名が参加して行なわれた。
STIの平岡社長は「スバル、STIのモータースポーツ活動はスバルブランドへの貢献のために重要な位置付けを担っている。モータースポーツ活動を通じてファンの皆さまとの交流は重要だと位置付けており、さまざまな活動を行なっている」と述べ、スバル/STIにとってモータースポーツ活動が、スバルのブランド構築に重要な活動だとコメントした。
2021年のスバル/STIのモータースポーツ活動で最も重要になるSUPER GTに関しては、SUPER GT スバル/STI総監督 小澤正弘氏、ドライバーの井口卓人選手、山内英輝選手という体制で戦っていくことを明らかにし、「今年は新型マシンを投入する。市販車のBRZのフルモデルチェンジに合わせて、SUPER GTの車両も新型となる。市販車の諸元や、素性がよい車両はレースカーにおいてもいい影響がある。BRZはライトウェイトでコーナリングマシンという特徴があり、それを生かしながら開発を進めてきた。今シーズンは全戦でポイントを獲得して、シリーズチャンピオンを目指す」とした。
また、平岡社長は2020年に長年続けてきたニュルブルクリンク24時間レースへの参戦がコロナ禍で途切れたことについて触れ、「昨年参戦を断念したニュルブルクリンク24時間レースへの参戦は、今年の参戦に向けて全社を挙げて準備してきた。しかし、コロナ禍という状況の中で、残念ながら今年も見送ることにした。マシンのシェイクダウンまでしたのに、このようになってしまって残念。ただし、STIにとってニュルブルクリンク24時間レースへの参戦は人材育成の意味で重要な位置付けを担っており、参戦が適うような状況なら再度検討したい」と述べ、完全に諦めて訳ではなく、欧州での感染状況やスケジュールなどの変更があれば再度見直しをする可能性を示唆した。
このほか、全日本ラリー選手権、GAZOO Racing 86/BRZレースの参戦体制を説明したほか、平岡社長は「自動車業界では電動化の波が押し寄せてきている。モータースポーツが電動化されてもSTIらしさを失わないように取り組んでいきたい。具体的な内容はまだ話せないが、着々と準備している」と述べ、今後電動化されたモータースポーツ車両などの開発などに取り組んでいくという開発意向表明を行なった。
新型BRZの空力の特徴を生かして空力性能なども改善
会見の後半ではSUPER GT スバル/STI総監督 小澤正弘氏、ドライバーの井口卓人選手、山内英輝選手がそれぞれ抱負を語った。小澤氏は「全戦ポイントゲット、シリーズチャンピオン獲得を見据えて、粘り強く走るチームにしていきたい。心を1つにという気持ちで頑張っていくので、応援よろしくお願いします」と述べた。
また、井口選手は「新型車両がとにかくカッコいい、新しいクルマということで皆さんの期待も大きいので頑張っていきたい。妻と結婚して5年目だが、山内選手とは組んで7年と妻よりも長い付き合いなので、一緒に頑張っていきたい（笑）」と述べるとともに、山内選手は「昨年は1勝もできずに残念だった。応援してくれた皆さんの気持ちに応えられるように頑張っていきたい。ニュル24時間は参戦できなくて残念だが、沢山の人が待ってくれていると思うので、状況が変わることに期待したい」とし、両選手ともまずは1勝という気持ちであるようだ。
続いて小澤氏によるマシン紹介が行なわれ、「今回カラーリングが大きく変わっている。縦に通っているピンクのラインがSTIの魂が通っていることを示しており、両脇のラインが水平対向をイメージしており躍動感が出ている」と述べ、カラーリングの狙いを説明した。
また、新型車両の特徴については「2012年にレガシィからBRZに、2017年にはBRZは同じだがトランスアクセルを導入するなどして新型車両を導入してきたが、その時にはセッティングに苦労したという側面があった。このため、今回の新型BRZでは、昨年の車両の正常進化を狙っており、大きな変更は入っていない。フロントのサードダンパーが中心に来たり、ドライサンプがドライバーの頭の上にあったのがエンジンルームに移ったり、ドライバーの操作系もクリック感を改良するなど細かな違いが多い」と述べた。
小澤氏によれば、エンジンはほぼ同じ仕様で、空力に関してはワールドプレミアされている新型BRZの意匠を利用しているので、空力が改善されているほか、カナードなども追加されているとのこと。
会見終了後には、61号車 SUBARU BRZ R＆D SPORTのシェイクダウンが行なわれ、ピットから出たり入ったりを繰り返し、数周の連続走行などを実施。45分のシェイクダウンに加え、映像の撮影なども行なわれた。
February 22, 2021 at 11:00AM
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