東京メトロ(東京地下鉄)は2月21日、有楽町線・副都心線向け新型車両「17000系」の運行を開始した。
17000系は約45年に渡り有楽町線・副都心線で運行されている「7000系」を置き換えるために開発した車両。2017年8月に設計を開始し、2020年1月に初編成となる17101編成が入線。性能試験や乗務員訓練などを経て、ようやく営業車両としてデビューを迎えることになった。
デビューの場に選ばれたのは新木場駅(7時21分発)から和光市駅(8時13分着)へ向かう運用。新木場車両基地(東京都江東区)から出発した列車は、7時18分に始発駅となる新木場駅へと到着。平日なら通勤客で混み合う時間帯ながら、当日は日曜とあってホーム上に乗客の姿はまばら。車内が密になることなく出発時間を迎え、東京地下鉄 大手町駅務管区長 武田一美氏の合図により静かに新木場駅をあとにしていった。
今後、2021年4月までに60両(10両×6編成)が搬入される予定で、そのうちすでに車両基地に入線している3編成は、3月以降に順次投入。2021年5月からは8両編成(8両×15編成、計120両)の搬入が開始され、2022年4月までには全車が出揃う予定。同時に有楽町線の開通以来、乗客の移動をサポートしてきた7000系は姿を消すことになる。
列車の出発後に囲み取材に応じた東京地下鉄 車両部設計課 課長 荻野智久氏は、17000系について「東京メトロ有楽町線・副都心線、東急電鉄、東武鉄道、横浜高速鉄道、西武鉄道の5社を相互直通運転しており、大容量で高頻度、広範囲の輸送を担う車両」だと説明。
万一、故障が発生した場合に影響範囲が広くなるため、「故障の発生頻度を極力下げるため、車両機器の動作状態をモニタリングするための状態監視装置を搭載しています。司令所や検収員が車両の機器が正常に動作しているかを遠隔でモニタリングできる仕組みを入れて、安全で安定な輸送をしっかり守っていこう」というのが一番の特徴だとコメントした。
また、「日本の鉄道の技術の粋をしっかり集めて作った車両」であるとしつつ、「(お客さまには)新しい電車が来たときにウキウキした気持ちになっていただければうれしい」「バリアフリー、情報設備、車内空間に力を入れた車両ですので、受け入れていただけたら非常にありがたい」と述べた。
17000系の主な特徴
7000系や現在主力となっている「10000系」の意匠を受け継ぎつつ、安全・安定運行や車内快適性の向上、省エネ化を目指して開発された車両。
安全・安定運行の面では、丸の内線用「2000系」から導入が開始された車両情報監視・分析システム「TIMA(Train Information Monitoring and Analysis system)」を搭載。走行中の列車の機器状態を総合司令所やメンテナンス部署からモニタリングすることで、故障発生時の迅速な対応や故障の低減を目指している。
快適性の面では全車両にフリースペースを設置したほか、優先席の増設、車両とホームの段差低減(1200mm→1160mm)など、バリアフリー化が図られているのも特徴だ。そのほか、同車両の詳細については関連記事「東京メトロ、有楽町線・副都心線の新型車両『17000系』公開。2021年2月デビュー予定」を参照していただきたい。
February 22, 2021 at 04:00AM
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