東京メトロは6月2日、鷺沼車両管理所(神奈川県川崎市)において半蔵門線向けの新型車両「18000系」を報道公開した。
半蔵門線は渋谷~押上駅間16.8kmを結ぶ路線。1978年に渋谷~青山一丁目駅間が開通し、その後徐々に延伸、2003年に全線が開通。東急田園都市線および東武伊勢崎線・日光線との相互乗り入れを実施しており、1日あたり約107万人(2019年度実績)が利用している。
現在、半蔵門線で走行している車両は相互乗り入れ先となる東武鉄道、東急電鉄を含め6系列930両。このうち、同社車両は1980年にデビューした「8000系」が190両(10両×19編成)、2002年デビューの「08系」が60両(10両×6編成)の計250両が活躍中だ。しかし、8000系においては2004年以降にVVVF化など大幅なリニューアル工事を受けているとはいえ、製造から40年あまりが経過していることから新型車への置き換えが求められるようになった。
新型車両の開発にあたっては「快適性の向上」「バリアフリーの促進」「省エネ性の向上」「安全・安定性の向上」に加え、同社線全般の特徴となる「短い駅間」「急勾配」「急曲線」への対応、また相互直通運転先での「高速性能」、それに伴う「機器の共通化」など、多くの性能が求められた。これらを満たすべく設計、開発したのが18000系となる。
設計開始は2017年8月。2020年10月にはトップナンバーとなる「18101編成」が搬入され、翌月からは各種性能試験を実施した。今後、この6月からは乗務員訓練を行ない、8月の営業デビューを待つことになる。2025年度までに全編成を搬入し、8000系の置き換えが完了する予定となっている。
18000系の概要
車両のメカニズムなど基本部分は、ひと足先にデビューした有楽町線・副都心線向けの新型車両「17000系」と多くの部分で共通化している。
外観においてもブラックアウトされた運転席まわりや非対称の前部ドアなどは共通のイメージで、前部/後部標識灯の形状、パープルを基調としたラインカラーの採用が違いとして目立つ部分。ただ、ラインカラーに関しては8000系と08系が赤味が強いパープルだったのに対し、18000系では青味を強めたカラーとなっており、従来車との違いを感じる部分でもある。
そのほか、見た目には分かりづらいものの、車体幅が20mm狭い2780mmとなっているのも半蔵門線向け車両ならではのポイント。それに合わせて車両定員もわずかに(1車両あたり1人)減っている。
「開放的な空間を目指した」という内装も17000系譲り。こちらもラインカラーのパープルを随所に配置するとともに、強化ガラス製の袖仕切りや貫通引き戸、荷棚を採用することで明るく広々とした車内を演出。ドア上部に17インチワイド液晶を2画面配置するほか、全車両にフリースペースを用意したり、車両とホームの段差低減を図ったりするなどバリアフリー化も追求。また、昨今のコロナ禍を鑑み、シート表皮には抗菌、抗ウイルス、消臭作用がある生地を採用するほか、手すりやつり革、握り棒、壁面など車内全般に抗ウイルス、抗菌処置を実施。さらに開閉可能な窓には換気時の目安となる「車内窓開けステッカー」が貼られるなど、多くの対策を盛り込んでいる。
省エネ面では制御装置にVVVFインバータ方式やフルSiC素子を、主電動機に高効率な永久磁石同期電動機を採用。加速時の電力使用量を削減するとともに、減速時の回生領域拡大により効率をアップ。8000系と比べると約30%の電力消費削減を見込んでいる。
安全・安定性の面では「車両情報監視・分析システム(TIMA)」の導入がトピック。車両とデータセンターを無線で接続することにより、営業線を走行している車両の機器動作データを蓄積。それを司令所や車両基地から確認可能とすることで、故障発生の減少だけでなく故障発生時の迅速な対応を目指している。車内安全の面では1両あたり4台のセキュリティカメラを配置することで死角なく車内全体を把握可能としている。
18000系の概要
編成形態: 10両編成(4M6T)
加速度: 3.3km/h/s
減速度(常用): 3.5km/h/s
減速度(非常): 4.5km/h/s
最高運転速度: 110km/h
最高設計速度: 120km/h
構体: オールアルミニウム合金製ダブルスキン構体
車体寸法: 20000(先頭車両20470)×2780×3635mm
底面高さ: 1140mm
定員/座席定員: 142人/45人(中間車153人/51人)
車両公開後に囲み取材に応じた東京地下鉄 車両部設計課 課長 荻野智久氏は、同車両について「使っていただけることが一番大事」としつつ、「乗ってみたらなにか雰囲気が違う、なんかいいな」と思っていただけるようにエクステリアとインテリアにコダわったとコメント。また、さまざまなお客さまに使っていただくために、バリアフリー化や情報配信機器の充実化、セキュリティカメラの設置を行なったほか、車両の走行状態を監視する装置も搭載。電車の状態を車両基地や司令所で確認可能とすることで輸送障害の時間を極限まで縮小するなど、安全、安定輸送はもちろんサービス品質の向上を目指しており、この車両が「お客さまに受け入れられたらうれしい」と話した。
June 04, 2021 at 09:30AM
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半蔵門線の新型車両を一足先に見てきた! 18000系はパーブルカラーの開放的な車内 - トラベル Watch
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