Search

座席で通話OK! 新幹線の「リモートワーク推奨車両」でWeb会議は現実的か? 乗って検証してみた - ITmedia

sharyo.prelol.com

 「1号車はリモートワーク推奨車両です。この列車にご乗車の方なら、どなたでもご利用いただけます」

 列車が上野駅を出て数分後、車内放送で告知されると、数人の乗客が移動してきた。JR東日本は、東北新幹線「はやぶさ」103号盛岡行きの1号車を、2月1日から「リモートワーク推奨車両」として運用し始めた。はやぶさの他にも東北新幹線の一部列車が実証実験の対象だ。

 新幹線をリモートワーク推奨車両にする意味は何か。実際の使い勝手は? サービス初日に記者が乗車し、本サービスの狙いを探った。

JR東日本が東北新幹線で始めた「リモートワーク推奨車両」
リモートワーク車両を備えた「はやぶさ103号」

座席で通話やWeb会議OK “マスキング音”で聞き耳対策も

 新型コロナウイルス感染症の流行によって広まった“新しい生活様式”は、働き方や社会にも変化を与えた。都心部では在宅勤務に移行する人が増え、鉄道会社の経営にも大きなインパクトを与えている。今回の実証実験の目的は、その変化に対応する新たな鉄道サービスのニーズを探ることだ。

リモートワーク推奨車両とはいうものの、実証実験の段階では普通車と同一仕様

 新幹線の座席では通常、携帯電話の通話は禁止されている。通話をする場合はデッキに移動するように、というのがいつものアナウンスだ。ただし、今回の実証実験で設定される「リモートワーク推奨車両」については話が別だ。携帯電話での通話はもちろん、ノートPCを開いてWeb会議をしてもいいとされている。

 今回の実証実験では1日当たり4〜5本の列車に「リモートワーク推奨車両」が設置される。リモートワーク推奨車両は指定席ではなく、その列車の乗客なら誰でも追加料金なしで利用できる。座席の利用は先着順で、“仕事に集中できるように”1席ずつ離して座るよう案内される。

車両の出入り口に案内が張られていた

 マスク着用を条件に休憩や談笑などにも使えることになっている。ただし、乗客の様子をみる限りでは、やはりノートPCを使った作業をする人が多いようだ。この車両では、話している内容が周りに聞こえないような配慮もなされている。

 シートそのものは通常の東北新幹線車両(E5系普通車)とまったく同じ仕様。各座席のACコンセントも利用できる。テーブルは特急型車両よりも広いが、筆者が携行している12.3インチの「Surface Pro 7」を置くにはやや手狭にも感じられた。それでも隣に人がいない分、余裕を持って作業できたのは確かだ。

情報マスキング音で聞き耳対策 イヤフォンマイクも持参が吉

 リモートワーク推奨車両では「情報マスキング音」が流れている。これはヤマハが開発した技術で、雑踏や人の話し声に近いホワイトノイズのような音を流して、声が聞こえる範囲を狭める技術だ。

ヤマハ製の「VSP-2」から流れるホワイトノイズにより、周囲の席の会話が聞き取りづらくなっている

 実際、乗車中は前後左右の座席の席での会話はほとんど聞こえなくなる。ホワイトノイズによってキーボードの打鍵音も紛れるため、周囲に気兼ねすることなく、ノートPCを使った作業に集中できた。

 一方で、スピーカー通話の声も聴き取りづらくなる。Web会議に参加する予定なら、イヤフォン付きマイクを用意するべきだろう(ノイズキャンセリング機能付きならなおよし)。

 上野を発車して大宮を出るまでの短い乗車時間だったが、LINEアプリで音声通話を試してみた。東京〜大宮間の低速走行の区間ではあるものの、トンネル区間の通話は途切れがちな印象。マスク越しの遠慮しがちな会話に加えて、不安定な通信による断絶もあるようだ。

 4G LTE通信は移動しながらの連続した通信は苦手なため、これは仕方ないところともいえる。通信品質を考慮すると、盛岡駅以北のようなトンネル区間が連続する区間では、Web会議などに出席するのは難しそうだ。

 この車両を利用する人には、モバイルWi-Fiルーターの貸し出しも行われる。貸し出し機種はKDDIの5G対応ルーター「Speed Wi-Fi 5G X01」だ。新幹線の車内ではフリーWi-Fiも利用できるが、安定した通信を求めるならルーターの貸し出しを受けたほうがいいだろう。また、メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」の貸し出しも行っており、アプリで集中力を可視化する機能を試すことも可能だ。

横3人掛けの中央と2人掛けの通路側が使用不可となっている

KDDIとの「空間自在プロジェクト」の一環

 KDDIは2020年12月にJR東日本との協業で「空間自在プロジェクト」に取り組むことを発表している。今回の取り組みはその第1弾に当たる。

 KDDIはリモートワークを支える通信やIT技術を持ち、JR東日本は駅や不動産など都市の接点を有している。両者が提携することで、リアルとバーチャルを掛け合わせた新たなサービスを提案するとしている。

 今回のリモートワーク推奨車両について、KDDIの役割はルーターを貸し出すだけという。ただし「新幹線でWeb会議を推奨する取り組みに対して、どのような受け止め方がされるかはKDDIとしても関心がある」としている。

 両社の構想は多岐にわたるが、計画中の取り組みとしては、コワーキングスペース同士をつなぐ「分散型ワークプレイス」というシステムがある。これは、ディスプレイを通して離れた空間をつなぐアイデアだ。

 例えば東京、千葉、埼玉に点在するオフィスに壁面を覆う大きさのディスプレイを設置する。大型ディスプレイにカメラ映像でほかのオフィスの様子をつなぐことで、離れた場所で働く同僚と、あたかも隣にいるかのように共同作業ができる。

 この分散型ワークプレイスが浸透し、例えば最寄りの駅にあるコワーキングスペースで使えるようになれば、在宅勤務よりも効率のいい共同作業ができるようになるかもしれない。

 一方で、地方に工場を構える企業など、ポスト・コロナ時代も移動のニーズがなくなることはない。リモートワークが当たり前の時代には、「移動中の新幹線を第三のオフィスとして使う」というニーズも必然的に生まれそうだ。今回の実証実験を通じて、新幹線の新たな利用スタイルが見いだされるのか、反響や動向を注目したい。

リモートワーク推奨車両の対象列車一覧

Let's block ads! (Why?)


February 01, 2021 at 05:00PM
https://ift.tt/3alOUj8

座席で通話OK! 新幹線の「リモートワーク推奨車両」でWeb会議は現実的か? 乗って検証してみた - ITmedia
https://ift.tt/2Zi3y55
Mesir News Info
Israel News info
Taiwan News Info
Vietnam News and Info
Japan News and Info Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "座席で通話OK! 新幹線の「リモートワーク推奨車両」でWeb会議は現実的か? 乗って検証してみた - ITmedia"

Post a Comment

Powered by Blogger.