和歌山県御坊市内を1両編成のディーゼルカーがゆっくりと進む。地元の人に親しまれている紀州鉄道の2台の車両。かつて滋賀県の山あいで約20年活躍し、廃車になる予定だったが、「第二の人生」を楽しむように走り続けている。
赤色とクリーム色のツートンカラーに、市公認のPRキャラクター「みーやちゃん」のイラストがラッピングされた車両が、小走りするような速度で西御坊駅を出発した。
平日の昼前、途中の学門駅で中間試験を終えた近くの高校生がたくさん乗り込んできた以外、乗客はほとんどいなかったが、田園風景が残る市中心部を8分ほど走り、折り返しとなるJR御坊駅に到着した。全線2・7キロは、実質的に「日本最短のローカル私鉄」とされる。JR和歌山―新宮の各駅間の平均約3・8キロより短い。この区間に5駅。最高速度は40キロ程度という。
1日18往復。月曜午後から金曜午前まで運行する赤色とクリーム色の車両「KR205」は2017年に、金曜午後から月曜午前までの緑色とクリーム色の「KR301」は16年に、信楽高原鉄道(SKR)=滋賀県甲賀市=から「移籍」し、第二のふるさとで走り始めた。
もともと2台とも、1991年に発生したJR西日本の列車との正面衝突事故後に作られた車両だ。KR205(SKR205)は事故で失った車両の補充に、KR301(SKR301)は事故を教訓に安全面などを強化して導入された。全線14・7キロ、甲賀市南西部の山あいを最高時速約70キロで約20年間、SKRの信頼回復も担った。
老朽化が進み、アップダウンの多いSKRで走り続けることは難しくなり廃車の予定だったが、勾配の少ない路線ならまだ運行ができると紀州鉄道が無償で譲り受けた。KR205は今年3月までSKR時代の黄緑色とクリーム色だったが、4年目の車両検査を機に塗り替えた。
「当初はSKR時代のなごりを残そうと同じカラーだったが、『もうぼちぼち』と思い切って塗り替えた」と、紀州鉄道運輸課長の大串昌広さん(56)は言う。2台の車両は外見もすっかり同鉄道の一員となった。
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運転士も「第二の人生」
西御坊駅近くで生まれ育った大串さん自身、「第二の人生」を歩んでいる。高校卒業後、当時の大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)で運転士を目指したが、父親が体調を崩したのをきっかけに21歳で帰郷。家業の精肉店で働いていたが、2014年に紀州鉄道の社員になった。
16年には運転士の免許を取…
July 26, 2021 at 02:00PM
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廃車予定だった2車両、紀州鉄道で走る「第二の人生」 - 朝日新聞デジタル
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