高度経済成長期の通勤時間帯に、スムーズに乗降できるよう京阪電鉄(本社・大阪市中央区)が導入した名物車両が、今年6月で引退を迎える。形式名称は「5000系」で、1970年12月に導入が始まり、片側に五つの扉を設けた日本初の多扉車(たとびらしゃ)といわれる車両。誕生から半世紀がたち、関係者や鉄道ファンらがそれぞれの思い出を胸に別れを惜しんでいる。
昭和の時代が懐かしい旧塗装の5000系(京阪電鉄提供) |
撮影会に登場した5000系最後の1編成=11日、京都市伏見区の淀車庫 |
ラッシュ時は片側五つの扉全てを使用し、閑散時は二つの扉を閉めて天井に格納していた座席を下降させて使うユニークな構造。80年からは7編成49両が運行していた。
近年は混雑が緩和され、安全対策用のホームドアが整備され扉位置が合わなくなることから、引退が決まった。現在は1編成7両が、記念ヘッドマークを付けて運行(座席の昇降は今年1月に終了)している。
■“勇退”が似合う
京阪電鉄によると、ラッシュ時の混雑率は、60年代後半には200%を超え、70年に入っても223%と高い水準で推移。乗り換え客が多い寝屋川市駅や萱(かや)島駅のホームは毎朝ごった返し、各扉に駅員がはり付いて対応した。
「安全、安心に寄与した車両だった」と振り返るのは、元運転手で広報部の中西一浩係長(59)。五つの扉でラッシュ時の乗降時間は60秒から約40秒に短縮し、「客の流れが全く変わった」。同社で初めて構体がアルミ合金になり、軽量化が図られたことも「良く走り、扱いやすくなった」という。
「性能的にはまだまだ現役なだけに『惜しい』気持ちはあるが、京阪本線の一番肝心なところを支えてきたのだから、引退ではなく勇退という言葉を贈りたい」とたたえた。
■さよなら撮影会
今月11日には引退記念イベントが開かれ、事前申し込み開始1分で終了という狭き門を突破した60人の参加者を乗せた“貸し切り”5000系が、中之島駅−淀駅を走行。線路沿いでは車両を待ち構えて、カメラを向ける愛好家らの姿も見えた。
淀駅到着後は京都市伏見区の淀車庫に入って撮影会もあり、澄み切った青空の下、参加者らが持ち寄ったヘッドマークや、行き先、列車種別の変更をリクエストしながら、熱心にシャッターを切っていた。
ここ数年は出合う機会が減ったという畑山空大さん(14)=堺市=は「京阪の日本初がまた一つ無くなるのは寂しいが、安全のためだからやむを得ないですね」と残念な様子。
近畿産業考古学会の副会長を務める大阪学院大の中山嘉彦教授(60)は「かつての守口車庫で小学生の頃、ぴかぴかの5000系を見たのを今でも覚えている。通勤ラッシュのものすごい満員を、よく頑張りましたよ」と、春の日差しに輝く車両をまぶしげに見つめていた。
◆来月、寝屋川車庫で「ありがとう洗車会」
京阪電鉄は5月16、29日、「5000系ありがとう寝屋川車庫洗車体験会」を開催する。5000系車両で午前11時25分に中之島駅を出発。寝屋川車庫で洗車を体験(下車不可)した後、三条駅で下車、午後2時20分ごろ解散。
参加費4千円、定員各回140人。申し込みは今月23日午後0時半〜5月2日、京阪カードが運営する通販サイト「e−kenetマーケット」で。
April 18, 2021 at 09:35AM
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