犬や猫は日々の生活に潤いと癒しを与えてくれる。時には生きる活力の源、人生を支えるパートナー、家族といった存在にもなってくれる。ペットを飼っていると生活スタイルや価値観の基準も変わってくるのは当然だ。身近な例で、典型的なものといえば家選びとクルマ選びではないだろうか。
スポーツカーばかり乗っていた人が、犬と一緒に出かけられるSUVしか乗らなくなった。猫がいるので賃貸は無理と郊外の戸建てにわざわざ住む。そんな話も当たり前になってくると、クルマや不動産も「ペット対応」「ペット前提」であることが差別化ポイントとして成立するようになる。
住宅選びはまず周辺環境のチェックから
住宅はクルマほどペット優先というわけにもいかないかもしれないが、結局生き物であるという点では人間で考える点と本質的に違いはない。
周辺環境でまず気にしたいのは、ペット飼育への理解があるかどうかだ。戸建てや外飼いでもペット関連の苦情・トラブルは起きるものなので、マンションなどは管理組合や大家がOKとしているだけでなく、入居者にも飼育者がいるか、周辺住宅とのトラブルの有無を調べるとよい。
たとえば、近所に猫よけの「ペットボトル」など置いている家があると要注意だ。そもそも水の入ったペットボトルに猫よけの大した効果はないのだが、それでも頑なに設置している家は相当猫嫌い、動物嫌いの可能性が高い。逆に地域猫の餌やりポイントがあるなら、比較的動物に寛容な地域であることが予想される。
ペットショップや病院へのアクセスもチェックしておきたいポイントだ。フードやペットシーツ、トイレ砂などはスーパーやコンビニでも手に入るし通販が便利なので、ショップの優先度は高くないかもしれないが、美容院やペットホテルを併設しているところも多い。併せて近くの動物病院の情報はチェックしておきたい。地理的なアクセスもそうだが、夜間や緊急時の対応がどうなっているかは確認しておきたい。夜間診療に対応する獣医は多くないが、最寄りの救急センターや夜間診療を行なっている獣医の場所は把握しておく。情報収集は不動産の担当者や内覧会などが基本だが、様子見がてら周辺の公園や散歩コースを下調べするのもよい。
周辺環境の目途がたったら、次は内装や設備だ。第一のチェックポイントは防音だろう。動物の鳴き声や走り回る音など確認しつつ、床や壁の素材もチェックしよう。フローリングは手入れが楽だが、滑りやすいという欠点もある。壁紙も防音・防臭・抗菌処理したものやペット用のキズや汚れに強い素材もある。引っ越し前に壁紙をペット用にしつらえるという手もあるが、DIYでウッドボード、パネルを貼ってもよい。全面でなくてもペットの居室の壁半分とか腰高までパネルを貼っておけばキズ保護・汚れ対策にもなる。
マンションでは共用部分に水場があるとうれしい。建物内に入る前にペットの足を洗いたいときがあるだろう。ペット用のシャワースペースや足洗い、水飲み場、リードのフックなどがついたマンションもある。関連して駐車場の位置、大きさ、設備も確認したい。機械式の場合、ペットの乗り降りがクルマを適当な場所に移動させてからになる。そういった場所があるか。平場や自走式でもドアやリアゲートの開け閉めもペットやゲージの積み下ろしを想定する。
戸建てでないと難しいがペットの居室にちょっとした水回りがあると便利だ。無理に取り付ける必要はないが、食器や飲み水のケアが楽だし、掃除にも重宝する。ただし、蛇口をつける場合、元栓をつけるなどペットにいたずらされない工夫をすることも重要だ。
ここ数年は特にペットとの生活が充実するマンションが数多く建築されている。ただ単に『ペット可』という訳では無く、先に挙げたペットのための設備はもちろんのこと、飼い主にとって役立つ嬉しい設備が増えてきている。その設備は各マンションで色々と魅力的な提案があるので資料を取り寄せて見比べるのが良いだろう。その中から自分にとって、ペットにとって最適な物件に巡り会えればより幸せな生活が送れるはずだ。
ペット基準でクルマや住まいを選ぶ場合のポイント
ホンダ、トヨタ、フォルクスワーゲン、ボルボカーズ、ルノーなど、積極的にペット向け装備やアクセサリーを展開するメーカーもあれば、賃貸でもペットOKとする物件、犬猫を意識したバルコニーやベランダ設計、外シャワーなどを工夫する戸建て、分譲マンションも増えている。クルマ関係なら、たとえば座席の汚れを気にしないで済むシートカバー。ペットが車内で寛げるハンモック。トランク形状にあわせた専用ケージやベッドもある。改造が自由なキャンピングカーでは、ペット用のシャワーや洗い場、用品ストレージ、ベッドなどを備える人もいる。
通院や旅行など自動車があれば当然ペットとの生活の幅が広がる。ペットを同乗させる用途があるなら、まずその使用頻度を考える。通院などがメインで普段はあまり一緒に移動することがないなら、ケージが乗せられるかどうかがいちばんのポイントだろう。年に1、2回程度の旅行に連れて行くくらいなら、ペット用シートカバーを買わずとも都度掃除でもいいかもしれない。ただ、動物の毛とクルマの内装素材(レザーや樹脂素材除く)の相性は最悪だ。粘着式のローラーを使ってもなかなか綺麗にとれないこともあるので、都度掃除にはそれなりの覚悟が必要だ。
もちろん掃除の手間よりシートカバーのほうが楽という人は、外出頻度にかかわらず用意しておくとよいだろう。とくにペットが粗相した、乗り物酔いで吐いた、となると、内側が防水素材だったり、取り外し可能で丸洗いできるシートカバーの効果は高い。
汚れ以上に注意したいのは、ペットの車内での安全性だ。犬猫は人間のようにシートベルトで拘束できない。ケージやキャリーバッグに入れるか、ペット用のシートハーネスを利用することになる。ハーネスはシートの上からの転落や運転席に飛び出さないためのもので、衝突時の衝撃からペットの身を守る機能はあまりないが、緊急時以外の危険な移動防止にはなる。犬によっては外の匂いを嗅ぎたがるので、窓全開・サンルーフという人もいるが、この場合、ハーネス装着と墜落・激突に注意が必要だが、基本的には窓開放は格子が入っていないかぎり推奨できない。
空調や温度管理も重要だ。使い方や注意事項は人間と同じだが、狭い車内では外気導入を伴った定期的な空気の入れ替えは欠かせない。ペットを車内に残すとき、エアコンをどうするか悩みがちだ。エンジンをかけてエアコンを効かせることになるが、地下駐車場などアイドリング禁止の場所もある。万が一ペットがドアロック、ウィンドウ、パーキングボタン(最近はスイッチ式が増えている)を操作してしまう心配もある。
エアコンについてはEVのテスラには面白い機能がある。まずEVはエンジンがないので駐車場所を選ばずエアコンをかけっぱなしにできる。テスラには「ドッグモード」というエアコンの自動調整設定も可能だ。また、ペット用機能ではないが、テスラには高性能のHEPAフィルターが備わっており、外気のウイルス、菌などを遮断してくれる。「生物兵器防衛モード」などと呼ばれている。PM2.5や細菌、ウイルスなどの車内侵入を抑えてくれるが、発表当時は中国やインドなど大気汚染が問題になっている地域向けの機能と思われていたが、今回のパンデミックで見直された機能だ。
ペットを車内に残すことは、車両の設備や機能にかかわらず推奨すべき行為ではないが、テスラのセントリーモード、ドラレコの防犯機能を利用すれば、駐車中でもカメラや各種センサーを稼働させ、人が近づいたり触ったりすると、オーナーに通知を飛ばすことができる。本来は、当て逃げや防犯対策の機能だが、接近や衝撃の前後の周辺画像も記録されるので、ペットを車内に残した場合に、ある程度の状況判断・監視に利用できる。
最後はペットとよく相談して
以上、ペットライフを送るうえでのクルマと住まいの注意点を整理してみた。細かい条件や基準は、飼う動物が犬なのか、猫なのかによっても変わる。飼い主ごとの事情や好みにもよる。クルマにしてもマンションにしても、ペット対応の機能や工夫は様々なので、一概にどのクルマがよい、どのマンションがよいとは言えない。
そのため選び方の基本要素に絞って解説したが、通常、クルマもマンションもそう何度も買い替えるものでもない。その前提で、容易に変更できない部分を最優先事項に考えるとよい。本稿もその基準で情報を整理したつもりだ。
基本的な考え方を押さえたら、あとは飼い主とペットとでよく相談して理想のクルマ、住まいを決めていってほしい。
September 11, 2020 at 03:00PM
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