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災害対策車両が「三菱のPHEV」でなければならなかった理由とは? 特務機関NERV・ゲヒルン石森代表に聞いた - レスポンス

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エンジンで発電し、家庭の電力もまかなえる電源となるプラグインハイブリッドEV(PHEV)なら、災害など“いざ”と言う時に活躍できる……そんなPHEVのメリットを最大限活用し、災害対策車両として採用している企業がある。大人気アニメ『エヴァンゲリオン』シリーズに登場する組織の名を冠し「特務機関NERV災害対策車両」として三菱自動車のPHEVを導入するのはゲヒルン株式会社だ。

ニュースで、あるいは映画館でその名前を目にした人もいるだろう。ゲヒルンは、情報セキュリティをメインに扱う企業で、セキュリティコンサルティングやシステムの脆弱性を診断するサービスなどを提供。また防災・気象情報の解析及び情報配信もおこなっている。では、このゲヒルンがなぜ、どんな目的で三菱のPHEVを導入したのか。なぜ三菱のPHEVでなければならなかったのか。

そこには代表取締役である石森大貴氏の強い想いがあった。

同社が導入した『アウトランダーPHEV』や『エクリプス クロス』(PHEVモデル)がどんな役割を担い活躍しているのか、PHEVが防災、あるいは災害時にどう役に立てるかを、石森氏に聞いた。

情報セキュリティを扱う会社がなぜ「防災」に注力するのか

ゲヒルン株式会社の石森大貴代表取締役ゲヒルン株式会社の石森大貴代表取締役
----:そもそも、なぜ情報セキュリティを扱う会社が防災に注力し、これに関連する車両を所有するようになったのですか。

石森大貴 代表取締役(以下、石森):3.11(東日本大震災)のあと、プライベートで発信していた「特務機関NERV」というTwitterアカウントで、災害関連の情報提供を始めたのがそもそものきっかけです。この活動から、名称の由来であるアニメ『エヴァンゲリオン』シリーズのライセンスを管理している株式会社グラウンドワークス:様にも賛同をいただき、防災情報提供サービスに力を入れるようになりました。その防災活動の一環としてクルマを活用しているのです。

----:PHEVをベースにこういったクルマを作ろうとしたきっかけは?

石森:2018年に北海道で発生した胆振東部地震をきっかけに、北海道の広範囲で電力を喪失したのが印象に残りました。もし東京で同様のことが起きると、自分たちの防災情報発信すらできなくなってしまうという危機を感じたのです。拠点を無停電ビルに移転すればいいのではないか? そうも考えました。しかし、停電対策のためだけにそういったビルに引っ越すと……賃貸料が高額で。停電対策にそこまでコストはかけられない。

----:確かにそうかもしれません。

石森:無停電ビル以外で、停電対策のために電力と通信を確保する方法がないだろうか。そう考えたんです。そこで浮上してきたのが、PHEVを活用する方法でした。

ゲヒルン株式会社の「特務機関NERV災害対策車両」として採用された三菱 エクリプス クロス PHEVモデルとアウトランダーPHEVゲヒルン株式会社の「特務機関NERV災害対策車両」として採用された三菱 エクリプス クロス PHEVモデルとアウトランダーPHEV
----:停電の時でも情報を発信できる手段を作りたいと。

石森:そうですね。防災アプリも提供しているんですが、我々が「(通信が)止まってしまったのでごめんなさい」というわけにはいきません。

----:そのプランには、PHEVが重要というわけですね。

石森:ガソリン車の中にも100Vの電源を供給できるアウトレット(コンセント)が付いているクルマもありますが、120Wや150Wなど供給可能電力は大きくないのが一般的です。しかしそれでは、通信機材をきちんと動かすには電力が足りません。いっぽうで、電気自動車(EV)であればそれとは比較にならない大電力を供給できますが、停電だからクルマから電力を供給したいのに、そもそもクルマへの充電が必要というのは緊急時に困りますよね。

----:確かに。

石森:電力を供給するために移動式の発電機も考えました。でもそれは、燃料を入れっぱなしで保管することができないというウィークポイントがありました。ガソリンの管理にハードルがあるのです。そう考えたときの最適解が、プラグインハイブリッド(PHEV)というわけです。それなら燃料タンクにガソリン満タンにしておけますから。アウトランダーPHEVやエクリプス クロスのPHEVモデルでは一般的なエンジン車(ハイブリッド車)の10倍以上に相当する1500Wの電力を供給可能です。

----:そう考えていくと、PHEVは最適ですね。

三菱 エクリプス クロス PHEVモデル、アウトランダーPHEVにはAC1500W電源が備わる。こちらはラゲッジルームのコンセント三菱 エクリプス クロス PHEVモデル、アウトランダーPHEVにはAC1500W電源が備わる。こちらはラゲッジルームのコンセント

なぜ災害対策車両に「三菱のPHEV」を選んだのか

----:PHEVである理由はわかりました。ですが、数ある中から、まず最初に三菱のアウトランダーPHEVを選んだ理由はどこにあったのでしょうか?

石森:まず前提として通信車両としての役割がありますので、ルーフにアンテナが載るかどうか。それから、チャージモードやセーブモードがあってバッテリーの使い方を柔軟に切り替えられるのはアウトランダーPHEVの魅力と感じました。そして、災害時のことを考えると、SUVや4WDであることの走破性も大切なポイントでした。アウトランダーPHEVが北海道胆振東部地震で実際に電気を供給するなど活躍したのも知っていましたし。

----:電力供給に加えて悪条件での機動性、そして実績というわけですか。

石森:あと……見た目的にアウトランダーは公共機関とか行政が使っているイメージがありました。三菱車はそういう雰囲気があります。「特務機関」ですからそこも重要です(笑)現在の車両は、初号機から弐号機にバトンタッチしている「アウトランダーPHEV」に加え、参号機「エクリプス クロス」(PHEVモデル)の2台体制です。

----:これまで実際に活動の機会は?

石森:定期的にクルマを使った訓練はしていますが、まだ実際の活躍はありません。もちろん災害が起きなくて、活躍の機会がないに越したことはないのですが。

ゲヒルン株式会社による訓練の様子ゲヒルン株式会社による訓練の様子
----:想定している使い方は、緊急時の情報発信ということですが。

石森:我々のオペレーションとして情報発信をおこなう際、本来の拠点に停電が発生したり、洪水になっても、クルマを情報発信の拠点として使おうと。停電が起きても、PHEVから取り出せる大電力を活用してクルマから情報発信をするわけです。

----:確かにPHEVならそれができますね。

石森:そのために、災害などで一般車両の通行が規制される緊急時にも走行できるように、事前の届けを東京都公安委員会に出してあります。また、内閣府から準天頂衛星システム「みちびき」の通信端末を所与頂いているので、避難所の運営情報などを共有できます。

----:災害時にクルマにはどんな有効活用方法があるとお考えでしょう?

石森:災害時に自治体を支援することができます。弊社では神奈川県箱根町と災害時支援業務協定を結び、箱根町から要請を受けた場合には特務機関NERV災害対策車両を派遣して災害対策本部や避難所の支援をします。

----:停電時は、PHEVからの電気で地域の人のスマホを充電することもできますしね。

石森:それは大切なことだと考えています。スマホは緊急時に情報を得るのに役立つツールですが、停電時は電池切れが心配です。特務機関NERV災害対策車両には避難所などでスマホ充電の電力供給ができるよう、USBが30個も付いているようなポートを積んでいます。

エクリプス クロス PHEVモデルは「賢いクルマ」

ゲヒルン株式会社の石森大貴代表取締役ゲヒルン株式会社の石森大貴代表取締役
----:ところで、石森さんはプライベートでもエクリプス クロスのPHEVモデルを所有していると聞きました。これも災害対策を考えてですか?

石森:それもありますが、ちょうどクルマを買おうと思ったタイミングでエクリプス クロスのPHEVがデビューしたので「最新のPHEVに乗ってみよう」と思ったのが大きいですね。そしてもうひとつ、日常で使うにはアウトランダーよりもひとまわり車体の小さなエクリプス クロスのほうが運転しやすいと思ったのが選んだ理由です。

----:なるほど。

石森:ですが、買ってから気が付いたことがありました。エクリプス クロスのほうが加速がよくて軽快に動くので、運転していて楽しいですよ。運転しやすいし楽しいので満足しています。購入前に災害対策車両としてアウトランダーPHEVに触れていましたが、とても賢いクルマだと思っていました。それはエクリプス クロスのPHEVモデルも同じですね。

----:「賢いクルマ」ですか。

石森:エンジンとバッテリーの活用の仕方とか、切り替えのスムーズさとか。ユーザーが何もしなくてもクルマが勝手に、効率よく切り替えてくれるのでさすがだと感じました。無変速が心地いいし、アクセルを踏み込んだ時は瞬時にレスポンスよく加速するのもモーターならではですね。エンジン車と違って加速のタイムラグがない。これを知ってしまうと、普通のガソリン車には戻れませんね。

----:すっかりモーター駆動の虜ですね。

「特務機関NERV災害対策車両」の参号機として採用された三菱 エクリプス クロス PHEVモデル「特務機関NERV災害対策車両」の参号機として採用された三菱 エクリプス クロス PHEVモデル
石森:エクリプス クロスのPHEVモデルはアウトランダーPHEVと比べると、さらにエンジンの音が静かになっていて驚きました。スタイルは、特務機関的な見た目で選ぶならやっぱりアウトランダーですね。ただ、プライベートで乗るならエクリプス クロスのほうが好きです。マイナーチェンジで変わったリアのデザインが特に気に入ってますね。

----:あらためて、大容量バッテリーを積んだクルマの魅力はどこにあるでしょうか?

石森:充電を併用しながらPHEVに乗っていると、ガソリンスタンドに全然行かなくなるんです。月に1度くらいしか行かないですね。さらに、ロングドライブなどでは給油だけで航続距離を伸ばすことができます。給油と充電(ガソリンと電気)とで使い分けができる。「自分でエネルギーを選ぶことができる」のも大きな魅力なんだと考えています。

----:日本は自然災害の多い国です。もし災害でガソリン供給が不安定になってもPHEVなら電気が通っていれば充電して走れるというリスクマネージメントの面からも、大きな意味があると考えてよさそうですね。本日はありがとうございました。

石森大貴代表取締役が着るつなぎの背中には「NERV防災 ゲヒルン危機管理局」の文字が石森大貴代表取締役が着るつなぎの背中には「NERV防災 ゲヒルン危機管理局」の文字が

ゲヒルン株式会社
https://www.gehirn.co.jp/

三菱のPHEV スペシャルサイト
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/carlife/phev/?intcid2=RP_ecphev_20210901_na

三菱 エクリプスクロス
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/eclipse-cross/?intcid2=RP_ecphev_20210901_na

「特務機関NERV災害対策車両 整備計画、始動」スペシャルサイト
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/carlife/phev/NERV/?intcid2=RP_ecphev_20210901_na

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September 01, 2021 at 10:00AM
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