コロナ禍が長引くなか、中古車市場が活況を呈している。中古車競売大手ユー・エス・エスによると、同社の中古車全体の成約車両単価(今年4~9月)が前年比19.5%増と大幅に上昇したという。
最近、10年落ち軽ワゴン車を査定に出した60代男性が興奮気味に語る。
「あまり乗らなくなってきたので、車を手放そうと先週査定に出したら『通常は30万円くらいの査定のところ、6万円程度高い価格がついた』と報告を受けました。ディーラーで査定したので何社も競わせればもっと高くなりそう」
なぜ中古車の価格が上がっているのか。モータージャーナリストの島下泰久氏が解説する。
「大きな理由に、コロナ禍の影響による『世界的な半導体不足』とマレーシアやベトナムなど『海外サプライヤーからの部品納入の遅れ』が挙げられます。これらの供給が足りず、新車の生産に響いている。新車を購入したくても納車の目処が立たない車種も多く、代わりに中古車が注目されているわけです」
では、どんな車種の中古車が高く売れるのか。
「軽自動車、ミニバンなどのファミリーカーのように“生活の足になる車”は需要が高いですね。実用車や軽自動車の人気は高く、いつ納車されるか分からない新車をずっと待つことはできないので、軽自動車などは10年落ち程度でも状態がよければどんどん売れています。来年に入ってもしばらくはこうした状況が続くのではないか」(島下氏)
一方、「“走り好きな人”が好みそうな懐かしの車種も軒並み高騰している」と、島下氏は指摘する。
「日産のスカイラインGTRやシルビア、トヨタの古いスープラなど“25年以上前”の国産スポーツカーが高騰しています。私も3月に90年式31年落ちのスカイラインGTRを新車並みの約500万円で買いました。それでも高かったのですが、この半年で価格は2~3割上がっています。もう投機の世界です」(同前)
この現象には、米国の中古市場が関係している。米国では基本的に右ハンドルの車を輸入できないが、発売から25年経過するとクラシックカーとして輸入できる「25年ルール」がある。島下氏によると、スカイラインGTRなど日本のスポーツカーが多く登場している映画『ワイルド・スピード』の影響で人気と高騰に拍車がかかっているという。
November 05, 2021 at 01:00PM
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