ツイッターには「ミソジニスト」と呼ばれる女性嫌悪に満ちたアカウントが存在する。彼らはなぜ女性に怒りを抱いているのか。性問題の解決に取り組んでいるホワイトハンズ代表理事の坂爪真吾氏は、「彼らは抽象概念としての『女性』に対して怒りを抱いている。この怒りは大きく分けて6つある」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、坂爪真吾『「許せない」がやめられない』(徳間書店)の一部を再編集したものです。 ■ネット上で存在感を強めるミソジニスト 今の日本は、男性差別に満ちている「女尊男卑」社会である。 いきなりそう言われても、あなたはとても信じられないかもしれない。 男女間の収入格差、家庭内における女性の家事・育児負担率の高さ、管理職・国会議員の女性比率の低さなどを見ても、現在の日本社会が男性優位社会であることは、火を見るより明らかだ。 そして、「女性差別が許せない」という怒りの声は、今日もメディアやSNSのタイムラインを賑わせている。 男女平等を重んじるリベラルな価値観を持った人が集まる家族や職場、同僚やクラスメートに囲まれて暮らしている人にとっては、「女尊男卑だって? どこの国の話だよ」と肩をすくめたくなるにちがいない。 しかし、あなたの生活や仕事とは全く接点がない領域、あなたのタイムライン上には決して表示されない情報空間の中で、「今の日本は男性差別が公然と行われている『女尊男卑』社会であり、男性はあらゆる場面で女性から虐(しいた)げられている」と信じている人たちは、確実に存在している。そしてネット上における彼らの存在感は、日々強まってきている。彼らの主張を、統計的・学問的な事実を提示して否定することは、きわめて容易である。しかし仮にそうしたところで、彼らは自らの信念を曲げない。その背景には、女性に対する嫌悪や蔑視(ミソジニー)に基づく怒りがあるからだ。
■抽象概念としての「女性」を忌み嫌っている ツイッター上には、「ミソジニスト」と呼ばれる女性嫌悪に満ちた言動をするアカウントが山のように存在している。「フェミ」や「ツイフェミ」というキーワードで検索すると、そうしたアカウント群を大量に確認することができる。 多くはフォロワー数がゼロや一桁、あるいは数十~数百にすぎない泡沫の匿名アカウントだが、中には数千以上のフォロワーを持つアカウントもある。著名な女性活動家やフェミニストに対して執拗な批判や罵倒を繰り返すアカウントもあり、ツイッターの世界では一定の存在感を醸し出している。 女性嫌悪という言葉からは、過去の失恋体験によって女性を敬遠、あるいは逆恨みするようになった男性がイメージされるかもしれない。 しかし、彼らは自分の個人的な経験や女性から受けた具体的な被害に基づいて女性に対する怒りの声を上げている、というわけでは決してない。 彼らが蛇蝎(だかつ)のごとく忌み嫌っている「女性」は、顔の見えない抽象概念としての「女性」である。それゆえに、彼らと同じ文脈を共有していない第三者から見ると、彼らがなぜ・何に対して怒っているのか、理解することが難しい。 一方で、実体のない抽象概念に対する怒りであるがゆえに、膨張して歯止めが利かなくなる傾向がある。 ミソジニストたちが抱く「女が許せない」という怒りの燃料となっている信念、女性嫌悪を強化している思想の体系を、彼らがツイッター上で発信している主張から読み解いてみよう。 ■共通するのは「女性の既得権益が許せない」という怒り ツイッター上でミソジニストたちが熱心に拡散させているツイートを分析すると、その背景には「女性の既得権益が許せない」という怒りがあることが見えてくる。 数百を超える大量の「いいね! 」を集めているツイート、千を超えてRTされているツイートの内容には、「女性の既得権益が許せない」という怒りが必ず絡んでいる。 この怒りを因数分解すると、以下の6つの「許せない」に整理することができる。
August 17, 2020 at 07:16AM
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「女性専用車両を許せない男」が女性に抱く6種類の怒り(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース
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